初めて息子を撮ってみた
紙としてプリントされた写真
オレがカメラを趣味にしたのは時期的に遅すぎたかもしれない。
アマチュアカメラマンにとって、一番適切な被写体は家族になるだろう。その中でも、子供を撮るという行為は親として、とても幸せなことだと思う。
まったくカメラに興味がなかった頃のオレでも、子供が生まれたら、デジカメを買い、デジタルビデオをそろえた。入園式、運動会、イベントのたびに撮りまくった。それはお父さんの大事な仕事でもあったからね。
子供が大きく育ったいま、デジカメもビデオも仕舞われたままだし、画像や映像を見返すこともまったくない。
パソコンやCD、機械のなかに入っているデータは雑に扱われてるというか、いつでも見られる安易なものとして残っているだけのような気がする。
ところが、紙にプリントされた写真は扱いが違う。丁寧に扱うし大事にされる貴重品だ。あの頃、バルナックを持っていればよかったなあと、つい思ってしまうのだ。
なので今年は暗室にもチャレンジできればいいなと考えている。
初めての家族写真
写真を休止していた期間だったけど、3月にバルナックで撮るチャンスが突然やってきた。
高校生の息子がテニスの全国大会に出場することになった。しかも会場はオレの地元ともいえる九州の福岡だ。これは行かなければいけない。親バカだけどそう直観した。
行ってみてビックリしたけど、結構親は来てるね。親バカでもなく普通だった。
動画でもなく、デジタルでもなく、ズーム機能もなく、ましてやモノクロだから色もない。それでも息子の一世一代の晴れ姿をバルナックで撮っておきたかった。
室内にあるメインコートは暗い。観客席から遠い。動く被写体にピントが合わない。
オレは腕もないのに、戦前のカメラで一生懸命に息子を追った。