オレのズマール いや オレのズマーを紹介します
ちょっと前まで、有楽町のビックカメラのライカ売場にこの本が置いてあった。
ライカ物語
この本の訳者である竹田正一郎氏の著書 神聖ライカ帝国の秘密
この本を読んでからズマールを意識するようになった。
この竹田正一郎という方は、2013年に亡くなっているが、もし、生前に出会えたとしたらすごく仲がいいか、大嫌いか、どちらかだったろうと思う。千鳥風に言うと、クセが強いという感じの人だ。
クロームライカの価値
竹田氏の解説によると、もともとブラック仕様だったライカがクローム仕上げになったことがライカ人気に拍車をかけたらしい。
バルナックライカが好きな人は、その軍艦部にうっとりとしてしまうと思う。ゴチャゴチャと込み入った複雑な軍艦部の「機械美」をカメラの中に持ちこんだのがバルナックライカだということらしい。それまでのブラックライカは、オタク(マニア)だけに通用する「機械美」だったが、クローム仕上げにすることで一般向けになったという。そのクローム効果で、鑑賞の対象である美術工芸品というポジションを手に入れた。
竹田氏はクロームライカの方を高く評価している。
彼の表現の仕方が面白い。カタカナの表現が多い。
クロームライカをよく見てみよう。特にその美の核心、グンカン部を。ちょっと見ると四角い感じのグンカン部だが、この四角がヤワラカイのだ。
あらためて、オレのバルナックのグンカン部を見てみる。
たしかにヤワラカイね。
ディテールを見ると、いたるところに曲線が使われている。バロック的というより、ロココ的なのだ。カドだって、面を取るんじゃなくて、ビミューに丸めてある。
バロック、ロココのことはよく知らないが、たしかに、ビミョーに丸めてる。職人技だと思うよ。
ニンゲンの目は、チラリと見ても、こういうディテールを瞬間的に拾って、脳で統合するから、全体としてヤワラカイ感じがでるのだ。
インダストリアル・デザインのプロは、このへんがよくワカッテて、ディテールに細心の注意をはらってシゴトする。バルナックもこれがよくワカッテた。
クロームライカのグンカン部。それは彼の、インダストリアル・デザイナーとしての一流性を、最高にはっきりさせた作品だ。
おー、すごいね。なんだか、Ⅲaへの愛着が強くなるね。
たしかに、クロームバルナックを友人に見せると、
男性は、「かっこいい」
女性は、「カワイイ」と言ってくれる。
特に、クロームは女性に受けがいいと感じている。
中古カメラ市場では、ブラックが圧倒的な価値を占めていて、クロームは半分以下の値段になっているからなあ。もっとクロームも見直されるといいんだけど。でもマニアはブラック好きだから、やっぱり難しいね。いま買う人は、ほとんどマニアだろうしね。
というオレも最初はクロームに惹かれたけど、いまはブラックが欲しいしなあ。
DⅢ&ニッケルズマール
かっこいいね。欲しいね。高いね。まだガマンね。まだね。いつかね。そのうちね。
オレもマニアになったんだなあ。
でもⅢaは手放さないよ。相棒だからね。
ズマールの魅力
この竹田氏は小学2年の頃からバルナックⅢaを使っていた。その時にレンズは、エルマーとズマールがあったが、ズマールの方ばかり使っていたらしい。
そして、ドイツ語が話せる人からすると、ズマールという言い方は嫌いみたい。正式にはズマーだって。ものすごくこだわってる。
エルマーはレンズのフチが薄っぺらくて、ボディの立派さとつりあわない。ズマーの方が付けると見栄えがした。ズマーみたいに写せるレンズは、ソフトタッチの、アーティスティックな画面をつくることができる。つまり、ズマーは記録だけのレンズに比べると、芸をすることができる、ちょっと高級なレンズなのだ。
なんだかエルマーの評価が低いけど、エルマーかっこいいと思うけどなあ。
まあ、そんなこんなで、ズマールには興味を持っていて、使ってみたいと思っていた。
オレのズマール、いやズマー。
どっしりとした感じになるね。体重を計ったら175gだった。エルマーが110gだからちょっと重く感じる。
沈胴させるところに矢印が入ってるのも面白いね。
前々回はモノクロの写りだった。
美的センスのないオレでも、ズマールの特徴的な写りの違いはわかった。
さて、カラーではどうか。フジX-TRA400で撮ってみた。
80年前のレンズだけあってレトロな感じするね。
でも、オレの好みはやっぱりモノクロかな。
オレの新しい相棒です。