いきなりライカ

初めてのカメラがバルナックライカ、仕事のついでに旅を楽しむ

木村伊兵衛に学ぶライカレンズ選択術

最初にエルマー50ミリを買って、新たにズマールの50ミリを買った。

今のオレには、バルナックⅢaが1台、50ミリレンズが2台になった。

さて、どんな時にエルマーを使い、どんな場面でズマールを使うといいんだろう?

単に、その日の気分でもいいんだろうけど、F値が違うこのレンズを使い分ける大義名分が欲しいなと思った。

この本で見つけた。 

ライカの神様とまで呼ばれた木村伊兵衛さんがアサヒカメラ1933年10月号で解説している。以下、エルマー5㎝ f3.5と ズマール5㎝ f2との比較表からの抜粋。

風景

エルマー:良好、ズマール:良好

肖像

エルマー:七分身、全身、集合写真に良好 

ズマール:開放のまま室内にて子供などの場合に良好

建築物

エルマー:良好、ズマール:不適当

夜間撮影

エルマー:不適当、ズマール:夜間の街等スケッチに適す

舞台撮影

エルマー:不適当、ズマール:良好

複写

エルマー:小物体撮影用、近距離用補加レンズ2号3号を付して小動物、植物、書類、小動物の近距離撮影、及び顔のクローズアップの撮影用、特殊の三脚を要す。

ズマール:不適当

 

建築物でズマールが不適当なんだね?なんでかなあ?

近距離用補加レンズってヌーキーのことかもね。このときにはまだズマール用ヌーキーはなかったのかもしれないね。

 

その後の1935年3月号では、矢野修二さんという方も解説している。

エルマー

スナップ、風景、肖像、建築物、室内、運動競技、接写、複写、その他に適す。

ライカの標準鏡玉です。最も万能性に富む鏡玉です。アマチュア写真家として最初に買うべきものでしょう。その光学的な性能は、レンズの最高峰に位し、口径比1対3.5において最高の能率を発揮できるもので、焦点の鮮鋭さには敬服のほかないと思います。

 

ズマール

夜景、人工光室内、舞台写真等、人造光線下の撮影に最も適す。

ズマールの出現はライカ使用者の待望の的とせられたもので、その性能は実に素晴らしきものがあります。Ⅲ型のスローシャッターと相まって夜間人造光線による撮影に異常の真価を発揮します。

 

うん、やっぱり古典を調べるのは楽しいね。部屋の中とか夜景とか暗いところではズマールということだね。でも、異常な真価を発揮しますって表現がすごいね。今度、三脚を使ってズマールで撮ってみよう。

なにせ、オレの手元にある撮影機材は1930年代と同じ状況ともいえるしね。なんだか浪漫を感じてしまうんだなあ。

 

そして、オレのレンズ選びは、やっぱりその日の気分で決めることにしよっと。